誰から語学研修を受けるべきか?限られた予算で受講者を選定するためのフレームワーク

予算によって受講枠の数は決まっています。しかし、受講を希望する人の数はそれを上回り、実際に受講する必要がある人のリストとも一致しません。
これは、企業の語学研修において最も議論されることが少ない意思決定であり、同時にプログラムが機能するかどうかを左右する数少ない判断の一つです。選定を誤ると、予算をすべて使い、プログラムも最後まで実施したにもかかわらず、期待したほどの成果が出ないという結果になりかねません。なぜなら、研修が、実際には語学を使う必要性がほとんどない職務の人に提供されてしまうことがあるからです。
2つの典型的な方法と、それぞれが選ぶ人
多くの組織は、意識的に受講者を決めているわけではなく、次の2つのアプローチのいずれかに落ち着きます。
希望者による申し込み制では、申し込んだ人に受講枠を提供します。この方法で選ばれるのは、学習意欲の高い人です。これは学習者として決して悪い資質ではありません。同時に、自主的にすでに学習している人、ある程度の語学力をすでに持っている人、そして学習する時間をすでに確保できている人も選ばれやすくなります。こうした従業員は、修了率の面では良い数字を出しますが、数字が示すほどの成長は見られないことがあります。そもそも研修がなくても成長していた可能性があるからです。
役職順では、組織図の上位から順番に受講枠を割り当てます。この方法で選ばれるのは、目立つ立場にいる人です。たまに海外との会議に参加する部門責任者に割り当てた1つの受講枠は、海外チームとのデイリースタンドアップを毎日運営している人に割り当てた場合よりも、活用される機会が少ないかもしれません。
どちらのアプローチも非合理的というわけではありません。しかし、どちらも、リターンが生まれる場所とは関係のないルールによって、限られたリソースを配分している可能性があります。
基準1:その職務でどのくらいの頻度で言語を使う必要があるか
まずは学習言語の使用頻度から考えましょう。研修後に使わないスキルは、時間とともに低下するからです。
仕事で毎日その言語を使う学習者は、研修で学んだことを、もともと行う必要があった反復練習を通じて実践的なスキルへと変えていきます。一方、年に2回しかその言語を使う必要がない学習者は、プログラムを修了しても、その後しばらく使用する機会がないため、せっかく身につけた流暢さが失われていくことがあります。研修費用を同じように支払っても、成果を測定する時点でスキルが機能しているのは、一方だけです。
考えるべきなのは、組織再編後にその職務で言語が必要になる可能性ではなく、今四半期にその職務で何が求められているかです。将来的に必要になる可能性があることは、受講枠を割り当てる理由ではなく、待機リストに入れる理由です。
基準2:そのコミュニケーションに何がかかっているか
使用頻度だけで判断すると、日常的な社内チャットのような、量は多いものの重要度はそれほど高くないコミュニケーションに目が向きます。
日常的な社内のやり取りと、売上、安全性、コンプライアンス、企業の評判などに関わるコミュニケーションを分けて考えましょう。チームのチャネルで起きた誤解なら、次のメッセージですぐに訂正できます。しかし、顧客との交渉、サプライヤーとの品質に関する協議、規制当局への提出書類などで誤解が生じた場合、そう簡単には修正できません。
使用頻度と重要度を組み合わせて評価しましょう。重要な内容について頻繁にコミュニケーションを取っている従業員こそ、最初に受講枠を割り当てるべき人です。そして、その人は組織図から判断した場合よりも、2階層ほど下にいることも珍しくありません。
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基準3:目標に対してどの程度のギャップがあるか
目標がなければ、ギャップを測ることはできません。まずは目標を定めましょう。CEFRのようなフレームワークを使えば、テストの点数ではなく「何ができるか」という観点から、その職務に求められるレベルを明確にできます。
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そのうえで検討したいのが、どの組織にも当てはまる正解のないトレードオフです。
目標ラインに近い学習者は、1回のプログラム期間中にそのラインを超えられる可能性があります。予算更新の際に目に見える成果として示せるため、個人の成長にとどまらない実務上の価値があります。
一方、目標から大きく離れている学習者は、長い目で見れば伸び幅そのものが大きくなる可能性があります。さらに、基準2で特定した業務プロセスのボトルネックになっているのが、まさにその人かもしれません。
組織に必要なのが「今回のサイクルで目に見える成果」なのか、「2サイクルかけて課題を解決すること」なのかによって、答えは変わります。この点は組織として意識的に判断しましょう。たまたまテスト結果が良かった人に引きずられて、なんとなく決まってしまうことのないようにしましょう。
基準4:学習準備と確保できる時間
どれだけ適性があり、どれだけ質の高いセッションを受けても、学習のために確保された時間がなければ、学習者は成長できません。
時間を実施上の小さな問題ではなく、受講者を選定するための基準として扱いましょう。受講枠を割り当てる前に、従業員の上司から、研修セッションとその間に行う学習がスケジュールに無理なく組み込めること、そして繁忙期になってもその時間を最初に削ることがないことを、書面で確認してもらいます。
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これを承認しないマネージャーからも、有益な情報を得ることができます。その反対を押し切って受講枠を割り当てると、従業員は研修に安定して参加できず、学習についていけなくなり、最終的には「自分は語学が苦手なのだ」と考えるようになってしまいます。
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これをスコアリングマトリクスにする
シンプルな表を作りましょう。候補者を1人につき1行で並べ、各基準を1列にし、それぞれ1〜5点で評価します。
| 候補者 | 使用頻度 | 重要度 | ギャップ | 準備状況 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 候補者A | 1〜5 | 1〜5 | 1〜5 | 確認済/保留 | |
| 候補者B | 1〜5 | 1〜5 | 1〜5 | 確認済/保留 | |
| 候補者C | 1〜5 | 1〜5 | 1〜5 | 確認済/保留 |
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使用頻度と重要度は、研修が実際に使われるかどうかを左右するため、最も高いウェイトを設定します。ギャップには中程度のウェイトを設定し、準備状況についてはスコアではなく受講条件として扱います。学習時間が確保されていることを確認できていない従業員は、順位を下げるのではなく、次回の受講グループまで保留します。
同点の場合は、その従業員の成長によって他の人のボトルネックが解消されるかどうかを考えましょう。海外チームとの週次ミーティングを1人で運営できるようになるだけで、その会議に参加する全員のコミュニケーションが変わることがあります。
完成したマトリクスは保管しておきましょう。なぜ自分が選ばれなかったのかを尋ねる人が必ず出てきます。基準に基づいて説明できれば対話を始めることができますが、説明のない意思決定は不満や不信感につながります。
選ばなかった人に何を提供するか
多くの受講者選定プロセスでは見落とされていますが、ここが、次回の受講グループへの支援につながる重要なポイントです。
選ばれなかった人たちには、3つのことを伝えましょう。まず、選定基準を伝えます。そうすることで、結果が本人に対する評価ではなく、受講する順番を決めるための判断だと理解してもらえます。次に、次回の受講グループがいつ始まるのか、そして何が変われば自分の順位が変わるのかを伝えます。そして最後に、たとえ体系的な自主学習のガイダンスと問い合わせ先を提供するだけでも構わないので、それまでの間に取り組めるものを用意します。
そうしなければ、成長の機会を求めたにもかかわらず、何も提供されず、説明も受けられなかった従業員が残ることになります。その中には、2回目の受講グループで選びたいと思う人もいるでしょう。しかし、その頃には、もう受講を希望すること自体をやめてしまっているかもしれません。
ニーズに応じて受講者を決める
受講者の選定に抵抗を感じるのは、それが人に対する評価のように見えるからです。しかし、実際に順位をつけているのは、ビジネス上のニーズです。そして、その結果として受講者が決まります。
受講グループを発表するときには、このことを明確に伝えましょう。選定基準を公開します。説明可能な選定と誠実な説明から始まるプログラムは、2年目にも良好な関係性を持ち越すことができます。そして、成果が目に見えて現れるのは、その2年目なのです。
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