コラム

多国籍チームにおける効果的な社内コミュニケーション向け英語スキル

言語が社内コミュニケーションの壁になるとき

毎週10時に始まるエンジニアリングチームの定例ミーティング。米国出身のプロジェクトリードがアップデートを共有し、技術的アプローチについて意見を求めます。3名の外国籍メンバーがすぐに質問や提案を出します。一方、日本人エンジニア5名はカメラもオフのまま黙って参加しており、実は複数がスケジュールに懸念を持っているにもかかわらず、発言しません。

ミーティング後、日本人メンバーは日本語で懸念点を話し合います。内容は理解しています。リスニングやリーディングは問題ありません。しかし、英語で発言するのはリスクに感じられました。「発音が聞き取りにくかったら?」「割り込むタイミングを間違えたら?」と考えているうちに、議論は次に進んでしまいます。

このような状況は、多国籍化が進む日本企業で日常的に起きていることです。問題は「英語ができない」ことではありません。多くの日本人社員は技術文書を読み、プレゼン内容を理解し、メールのやり取りも問題なくこなせます。課題は、リアルタイムの英語コミュニケーションに積極的に・自信をもって参加することなのです。

英語力は十分にあるはずなのに、コミュニケーションの壁が残り続ける。重要な意見が後から出てくるためプロジェクトが遅れる。外国籍社員は「日本人は会議に積極的でない」と感じ、日本人社員は「自分の貢献が評価されていない」「意見するのが怖い」と感じる。組織図上は多様性があっても、実際のコラボレーションではそれが機能していない。HR や L&D 担当者にとっては、このようなパラドックスが生まれています。

このパラドックスを解決するには、従来の文法中心の英語学習だけでは不十分です。多国籍チームで英語を共通言語として協働するための、現場で生きる実践的なコミュニケーションスキルが必要です。


なぜ従来の英語力だけでは不十分なのか

多くの日本人社員は、長年英語を学んできました。試験で良い点を取り、業界の記事も読み、プレゼン内容も理解できます。それでも、職場の会話のように即興性が高く、双方向で進むコミュニケーションではその力を十分に活かしきれていません。

問題は知識の不足ではなく、プレッシャー下での実践です。技術議論をすべて理解できても、質問するタイミングや言い回しに迷い、発言をためらう。メールは明瞭に書けても、ビデオ会議で同じ内容を口頭で伝えるのは難しい。読解は一人で進められますが、会話は瞬発力と対応力、そして「間違っても話す勇気」が必要です。

日本では約70%の人が英語に対してネガティブな意識を持っているとされ、文法やテスト重視の教育が原因で不安が形成され、それが社会人になっても続いています。たとえ英語力が十分でも、使うこと自体を避けてしまう傾向があるのです。この負のループは、使わない → 自信が下がる → さらに使わない、という形で強化されていきます。

ビジネスへの影響も深刻です。日本人メンバーが会議で専門的意見を出さないと、重要な観点が失われます。会議後にメールで補足ばかりするとプロジェクトが遅れます。誤解がその場で解消されず積み重なると、チームの不満にもつながります。問題は、 TOEIC の点数ではありません。納期の遅れ、タスクの重複、社員のエンゲージメント低下として現れます。

多国籍チームを効果的に機能させるには、「理解できる」英語から、「積極的に使える」英語へと進化させる必要があります。


多国籍チームに必要な必須コミュニケーションスキル

多国籍チームが効果的に機能するためには、英語力は受け身の理解にとどまらず、日々の業務の流れの中で積極的かつ自信をもって参加できるレベルに達している必要があります。


1. ミーティングで積極的に参加するスキル

多くの日本人社員が苦手なのは、話の理解ではなく「いつ、どう発言するか」です。国際的な会議はテンポが速く、参加者が次々と意見を重ね、時にはかぶせて話すこともあります。順番を待つ文化や上下関係を重視する環境に慣れている人にとっては、とっつきにくく感じられます。

重要なのは以下のような具体的スキルです:

  • 会話の入りどころを見つける
  • 発言したい意図を示す
  • 割り込まれても冷静に話を戻す
  • 話していないときも存在感を保つ
  • 不明点をその場で確認する勇気を持つ

これらができると、意思決定の質が上がり、日本人メンバーも「参加できている」という実感を持ちやすくなります。


2. 直接的なフィードバックを扱うスキル

フィードバックは文化差が顕著に出る場面です。日本では間接的に伝えることが多く、国際的な同僚には意図が伝わりにくい。一方、外国籍社員の直接的な表現を「強すぎる」と受け取ってしまうこともあります。

必要なのは、相手に伝わる適切な直接性の調整であり、文化のちがいを理解したうえで、互いに誤解のない形でやり取りするスキルです。


3. 複雑な内容をわかりやすく説明するスキル

技術者や専門家は、異なる部署や専門性の同僚に説明する必要があります。問題は語彙ではなく、構造化して話す力です。

  • 前提を共有できているか
  • どのレベルから説明するか
  • 相手の反応で調整できるか

これらを鍛えると、部門間の連携が大幅に改善します。


4. 職場での関係構築

多国籍環境では、信頼関係はタスク以外のちょっとした雑談やチェックインで生まれます。しかし、英語が苦手だと最も避けたくなる場面でもあります。

自然なスモールトークのスキルを身につけることで、心理的安全性や協働が促進されます。


5. 効果的に質問するスキル

「質問すると失礼」「基本を知らないと思われそう」という不安から質問を避けると、誤解のまま進んでしまいます。

  • タイミング
  • 明確な質問の仕方
  • 流れを止めずに確認する方法

これらを学ぶことで早期解決が可能になり、仕事の効率が大きく向上します。


これらのスキルを身につけるための実践的アプローチ

朗報なのは、こうしたスキルは体系的に習得できるということです。

1. 実際の業務シナリオに基づいた練習
実務に基づいた内容(自分の業界の会議、実際のプロジェクト説明など)が効果的です。

2. 繰り返し練習して自信をつける
ロールプレイ、録音練習、段階的な負荷の調整が有効です。

3. 文化的背景を明示的に扱う
それが語学力だけの問題ではなく、文化の違いにより自然な影響だと理解することで、安心感が生まれます。

4. 個別フィードバック
実際の業務文脈を知る講師が具体的に改善点を示すことで、成長速度が上がります。

5. 段階的に職場で適用する
ミーティングで1つ質問するなど、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。


今すぐ実践できる基礎アプローチ

包括的なトレーニングが最も効果的ですが、以下はすぐに職場で使える基本スキルです。

事前に要点を準備する
発言したいポイントを2〜3つ決めておくと入りやすくなります。

発言したい意図を先に伝える
「I’d like to add something」など、意思表示すると発言しやすくなります。

理解確認を習慣にする
「Let me make sure I understand. … Is that correct?」
これは誤解を防ぎ、積極性も示せます。

汎用的なフレームワークを持つ
例:フィードバック=事実 → 影響 → 提案、質問=理解した点 → 不明点。

アクティブリスニングを示す
相槌、短いリアクション、うなずきなどは、会話に参加する準備ができているサインになります。


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