Part 2:外国人社員への日本語研修投資が企業にもたらすビジネス上のメリット

序論:戦略性を捉え直す
日本のテック企業は、外国人採用に多額の投資をしています。海外ジョブフェア、採用エージェント、移住費用、ビザサポート。しかし多くの場合、日本語支援はオプション、いわゆる「あると良いもの」として扱われ、戦略的な必須要素とは見なされていません。これは本末転倒です。
日本の競争の激しいテック市場では、外国人エンジニアはシンガポールやソウル、あるいは母国へ容易に移ることができます。言語の壁は単なるコミュニケーション上の不便ではありません。優秀な国際人材が離職する主な理由であり、企業が投じた採用コストと専門知識が一緒に失われてしまいます。日本で外国人エンジニアを雇用するコストは500万〜1000万円に達することもあり、言語の壁が理由でで18ヶ月後に辞めてしまえば、その投資は丸ごと無駄になります。
外国人社員が退職理由としてよく挙げるのは「他社でのキャリア機会」や「家族の都合」。しかし実際の原因は、多くの場合、言語の壁がつくり出す専門的孤立です。技術的には優れていても、日本語が不十分だと、意思決定が行われる場、関係構築の場、キャリアが進む場から取り残されてしまう。日本では、日本語力なしでは優秀なエンジニアですら見えない天井にぶつかります。
国際人材を巡る競争が激化する中、日本企業が日本語研修を戦略的に捉えることは不可欠です。外国人社員が組織に統合され、最大限の力を発揮し、日本で長期的なキャリアを築けるよう支援する。それこそが本質的な課題解決です。
定着率:統合の経済学
外国人社員の高い離職率は、日本のテック企業にとって非常に高額で避けられるはずの問題です。採用コストに加え、欠員期間の生産性低下、失われる知識、チームの混乱、残る外国人社員の士気低下など、企業に与える影響は大きいものです。88%の組織が社員の定着を重要課題と認識しています。そして日本企業で働く外国人にとって、その課題の多くを生み出すのが言語の壁です。
日本で働く外国人社員が経験する孤立感は深刻です。外国人エンジニアは期待に胸を膨らませて入社します。技術的な仕事は英語ベース、同僚も親切。しかし徐々に現実が見えてきます。
合意形成が進むチーム会議は主に日本語。チームの絆が深まる雑談の多くも日本語。仕事後の飲み会での交流も日本語が前提。「空気を読む」ことは、日本語とその文化の理解なしでは難しい。キャリアアップには日本語が不可欠で、マネジメントやリーダー職は日本語での調整・合意形成・関係管理が求められます。
時間とともに孤立は蓄積します。外国人社員は自分のキャリアに限界があることを悟ります。技術力ではなく、日本語統合度が昇進を左右するのを目の当たりにします。ある人はその限界を受け入れ、別の人は静かに転職を検討し始めます。
70%の社員が、研修に投資する企業に長く留まる傾向があります。日本で働く外国人にとって、日本語研修は重要なメッセージになります:企業が自分を長期的な戦力として見ているということです。見えない天井を取り払い、リーダー職や組織の中核に近づける道が開けます。
日本語での会議参加、意思決定の背景理解、同僚との関係構築、リーダー職への昇進——これらが可能になることで、定着率は大きく改善します。
外国人社員が長期在籍すれば、サポート役として新しい外国人社員を支援し、組織の橋渡し役になり、貴重な知識を蓄積していきます。
日本語研修によって離職率が20〜30%改善するだけでも、採用コスト削減の面で十分に投資回収ができます。知識の維持、チームの安定、国際人材に支持される企業としての評判を考えれば、その投資効果はさらに高まります。
エンゲージメントとパフォーマンス:観察者から貢献者へ
言語の壁は離職だけでなく、日々の業務の貢献度にも直結します。エンゲージメント向上により生産性は17%、収益性は21%向上することが確認されています。しかし日本企業の外国人社員は、言語の壁によってエンゲージメントを高めにくい環境にあります。
技術的な要求は理解できても、非公式なやり取りが難しく、意思決定の背景や利害関係者の意図を把握するには日本語の理解が必要となります。ミーティングでは技術的内容が英語でも、周辺の文脈は日本語で語られることが多いです。
日本語力がつくことで、外国人社員は「仕事の本番」である非公式コミュニケーションにアクセスできるようになります。意思決定の背景、関係者の利害関係、議論の理由を理解でき、合意形成にも参加できるようになります。
さらに、自信の向上も大きな効果です。日本語で最低限コミュニケーションが取れるだけで、意見を述べる頻度が増え、懸念を早期に共有し、誤解を防ぐ質問もしやすくなります。これにより個々のパフォーマンスもチーム全体の効率も高まります。

グローバル競争力:優位性の構築
日本企業は国際的な人材獲得競争の真っ只中にいます。シンガポールやソウルといったアジア主要都市も、同様に外国人エンジニアを積極的に採用しています。この競争において、企業の評判は決定的に重要です。
外国人社員の定着・活躍が進んでいる企業には、質の高い国際人材が自然と惹きつけられます。
逆に、定着や活躍を支える仕組みが不十分な企業は、採用段階から候補者に選ばれにくく、人材確保に苦戦します。
その評価を左右する重要な要素のひとつが 日本語研修を中心とした受け入れ体制 です。
外国人社員が職場に馴染み、自社でのポジティブな経験を社外ネットワークで共有すれば、それがそのまま採用力の強化につながります。
さらに、定着・活躍が進んだ外国人社員は、日本と海外の文化・価値観をつなぐ“橋渡し役”として機能し、国際プロジェクトや海外拠点との連携において、企業に戦略的な価値をもたらします。
ROI の測定:実務的アプローチ
日本語研修のROIを測定する際、特に重要なのは「定着率」です。
まず離職データを追跡します。導入前後の外国人社員の在籍期間、2年以内の離職率、研修受講者と非受講者の比較、離職コスト(採用・リロケーション・オンボーディング・生産性損失・知識流出)を算出し、研修投資と比較します。
次にエンゲージメント指標。ミーティングでの発言数、非公式コミュニケーションへの参加度、統合感、意思決定理解度、キャリア見通しの明確さなどを、研修前と定期的に測定します。
さらにパフォーマンスの側面。日本語研修を受けた外国人社員がより広い責任を担っているか、リーダー職に昇進しているか、マネージャーの評価が改善されたかを追跡します。
日本企業の場合は特に、外国人社員の管理職登用率や国際人材からの応募状況、外国人社員の紹介件数などもROIに直結します。
研修成果と企業目標(国際拠点との連携、海外パートナーシップ強化など)を結びつけることで、経営陣は語学研修を戦略投資として認識できます。
結論:統合への戦略的投資
国際人材を巡る競争が激しい日本のテック企業にとって、日本語研修は最もROIの高い投資の一つです。離職率改善だけでも投資を十分に回収できます。知識の維持、チームの安定、国際人材への評判向上——これらは即時的な効果です。
さらに、エンゲージメント向上、パフォーマンス改善、採用競争力強化といった長期的な価値も生まれます。
鍵は、日本語研修を「実務に直結した統合支援」として戦略的に位置づけること。外国人社員が日本企業で直面する現実的な課題に対応し、十分な期間継続し、キャリアパスや組織文化と結びついた取り組みとすることが重要です。
これを実現できた企業は、より優秀な国際人材を惹きつけ、長期間にわたり彼らを活かし、組織の国際競争力を高め続けます。
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