コラム

多国籍チームを成功へ導くインクルーシブ・リーダーシップ研修

多国籍チームのマネジメントに必要なインクルーシブ・リーダーシップ研修とは?コミュニケーション、定着率、チーム力向上のポイントを解説。

はじめに:多国籍チームのためのインクルーシブ・リーダーシップとは

優秀なエンジニアがまた退職してしまった——これで18ヶ月間で3人目の外国籍社員です。退職面談では決まって同じ理由が挙がります。「技術的には問題ないが、孤立していると感じた」「誤解されている気がした」「重要な意思決定から外されていた」。

グローバル採用が進む中、日本の企業には多様なバックグラウンドを持つ社員の力を生かす「インクルーシブなリーダーシップ」が求められています。

例えば、外国籍社員が会議で意見を出さない、曖昧なフィードバックを誤解してしまう、意思決定のスピード感が違いプロジェクトが遅れる——こうした場面は珍しくありません。インクルーシブ・リーダーシップ研修は、組織としての力を高めるために、管理職が実践的なコミュニケーションスキルを身につけることを目的としています。

インクルーシブ・リーダーシップ研修とは?

インクルーシブ・リーダーシップ研修では、管理職が次のようなスキルを習得します。

  • 異文化によるコミュニケーションのズレを理解し対処する
  • 多様な背景を持つメンバーが安心して意見を出せる環境をつくる
  • マネジメントスタイルを多国籍社員の期待に合わせて調整する
  • 多様性を組織の強みに変えるための実践的アプローチを学ぶ

一般的なリーダーシップ研修とは異なり、文化背景の異なるチームを率いるための「即使用できるスキル」に焦点を当てています。


インクルーシブ・リーダーシップがチーム成果を高める理由

インクルーシブ・リーダーシップ研修を導入した企業は、チーム生産性が35%向上するというデータがあります(引用元:LifeLabs Learning)。

また、社員の定着率は5.4倍に改善。外国籍社員が「尊重されている」「理解されている」と感じることで、離職を防ぎ、知識の流出も抑えられます。

ベトナム人技術者が有益な改善アイデアを持ちながらも、会議でほとんど発言しない状況が続いていました。管理職は当初、その沈黙を「積極性の欠如」と受け取っていましたが、研修を通じて、実際には彼らが上司への敬意から「指名されるまで話さない」という姿勢をとっていたことがわかりました。誰もが順番に意見を述べられる仕組みを導入したところ、技術者からプロセス改善の提案が積極的に出され、結果として大幅なコスト削減につながりました。


グローバルチームにおけるコミュニケーションギャップを克服する

日本企業で一般的な「ハイコンテクスト文化」は、外国籍社員には分かりづらく、誤解を生むことがあります。英語を共通言語として使っていても、レベルの差によってコミュニケーションが不平等になることもあります。

研修では、以下のような実践方法で学びます。

  • 会議前に要点を共有する
  • 発言内容を文章でフォローし、誤解を防ぐ
  • アジェンダを事前共有し、誰もが参加しやすくする

また、根回しのような合意形成プロセスは、外国籍社員には「時間がかかりすぎる」と感じられがちです。しかし、 「これから2週間、意見収集の期間を設けます。最終決定はこの日です。」と明確に伝えるだけで、外国籍社員のストレスは大幅に減ります。


文化によって異なる「非言語コミュニケーション」を理解する

コミュニケーションの55%は非言語だと言われています。多国籍チームでは、この解釈の違いが大きな摩擦につながります。

代表的な違い:

アイコンタクトの意味
日本では控えめな視線は礼儀の一部ですが、多くの国では自信の表れ。視線を合わせないことで「自分に興味がない」と誤解されることがあります。

沈黙の使い方
日本では沈黙=熟考や場の空気を読む時間。
しかし、外国籍社員は「反対なのでは?」と受け取ることが多いです。
研修では「では、少し考える時間を取りましょう」と明示する方法を学びます。

直接的なフィードバック
外国人の率直な意見表明は、失礼ではなく文化的スタイル。これを理解するだけで、不必要なストレスが減ります。

あるテック企業ではアメリカ人技術者との摩擦が続いていましたが、非言語コミュニケーション研修を導入したところ、3ヶ月でチーム満足度が40%向上しました。


文化的認識を高める:リーダーに必須のスキル

管理職が異文化への理解を深めることで、以下のような誤解やすれ違いを大幅に減らすことができます。

  • 外国籍社員が、日本より頻繁なフィードバックを期待する背景
  • 個人責任や自律性を重視する文化的価値観
  • 意思決定に積極的に関わりたがる理由
  • 口頭説明より文書共有を好む理由

McKinseyの調査では、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を重視する企業ほど、財務パフォーマンスが高い傾向にあることが示されています(引用元:McKinsey)。こうした知見は、文化理解が単に「配慮」のためだけでなく、組織成果にも直結する重要な要素であることを示しています。

実例:
ドイツ人エンジニアに対し、
「技術力は素晴らしいですが、ドキュメントを改善してください。次の四半期までにコードコメントを増やしましょう。」 と、その方の文化に合わせて「明確に伝える」ことで協力関係が強化されました。


インクルーシブ研修を導入するには?

まず、管理職がどのような場面で外国籍社員との対応に困っているかを可視化するところから始めます。 IT、エンジニアリング、R&Dなど外国籍比率の高い部署から試験導入する企業が多く、効果検証がしやすいのが特徴です。

また、社員の国籍構成に合わせ、適切なケーススタディを使用し、ロールプレイで実践練習を行うと、より効果的です。


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Harvard Business Reviewの調査では、インクルーシブなリーダーに率いられたチームは、
高品質な意思決定が20%増え、協働性は29%向上すると報告されています(引用元:HBR)。

Comasでは、多国籍チームを率いる管理職の課題に合わせ、カスタマイズされた研修プログラムを提供しています。文化の違いによる摩擦を減らし、組織全体のパフォーマンスを高めるリーダー育成をご支援します。


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